ホールセラーとリテーラー

旅行業界の就職先といえば、カウンターのある旅行会社をイメージする人も多いと思いますが、いわゆる旅行会社は業界用語で「リテーラー」とよばれています。

 

一方で旅行会社以外に多い就職先に「ホールセラー」とよばれる会社があります。

 

この種類の会社は旅行の商品を造成し、卸売りをしていることが、通常の旅行会社とは異なります。

 

提携をした販売店で造成した商品を販売してもらうスタイルが一般的で、中には自分の会社で商品を販売しない会社もあり、「専属のホールセラー」などとよばれています。

 

今回はホールセラーとリテーラーの仕事内容や双方のメリットについてご案内していきます。

ホールセラーの仕事

ホールセラーの仕事は、航空会社やホテルからまず仕入れを行います。

 

その上で商品を作成し、現地の送迎、オプションなどの手配も行います。そして基本的に直接販売の機能を持たないホールセラーは、リテーラーに旅行商品を販売し、その商品を販売してもらいます。

 

リテーラーには、販売価格の10%程度の手数料が入るようになっています。

 

中でもホールセラーでよく知られているのが、日本航空の「ジャルパック」になります。

ホールセラーの仕事のメリットデメリット

旅行者には直接販売をせず、あくまでも提携店のみに販売をするため、いわゆる決まって販売店のスタッフのみとしたかやりとりがなく、一般の旅行者と接する機会がないことも多い傾向にあります。

 

そのため旅行業界に就職をしたいけれど、なるべく一般の旅行者との関わりの少ない仕事を選びたいと思っている場合には、「ホールセラー」を検討してみることもおすすめです。

 

決まった販売店のみとのやりとりとなるため、販売店とうまく業務が遂行できようにつとめることも大切な業務になります。

 

旅行業界において、ホールセラーと販売店が仲のよい会社は、双方に売り上げが上がるメリットがあります。

 

安い料金で航空券やホテルの仕入れができたら、やはり仲の良い会社に優先的に販売しているというホールセラーもあります。

 

一方で販売店とホールセラーがうまくいっていない会社は、もちろん双方にとってなかなか利益が上がらなかったり、最悪は契約を解除してしまうというケースも比較的よく見られます。

リテーラーの現状

リテーラーはホールセラーの商品のみを販売する会社もありますが、その場合は複数のホールセラーの会社と契約をしている会社が一般的です。

 

また大手旅行会社であれば、それ以外にも自社商品の開発にも力を入れており、並行して販売していることが一般的です。

 

しかしホールセラーから仕入れた商品と自社商品であれば、自社商品の方が販売しがちなのではないかと思われがちですが、いずれも利益としてはさほど変わりません。

 

中にはホールセラーから仕入れた商品の方が利益が高いケースもあります。

 

さらに同じ旅行先の商品でも、仕入れルートが異なるため空席状況が異なるケースもあり、自社商品の航空券の座席は満席でも、ホールセラーの商品は空席があるというケースもあり、代替え商品を提案することによって予約につなげられるメリットともあるのです。

 

つまりリテーラーは、自社商品とホールセラーの商品、そのどちらかに傾倒することなく、それぞれの顧客のニーズに合わせて販売しているといえます。

 

何よりも旅行の商品の取扱いが多いほど、その分たくさんの問い合わせがくるメリットがあり、それだけ売り上げアップも期待できるメリットもあるといえるでしょう。